塵屋敷さんのブログを見ていたら、FreeStompBoxesという海外のBBSに
Zendriveの回路図が出ているということで、早速のぞきに行きました。
また、そのZDスレにTMZさんという日本の方がわかりやすいレイアウト図を
投稿してくれました。

自作からは完全に足を洗っていたのですが、ZDと聞いて俄然やる気が出てきてしまいました。
本当は記事のタイトルをZD Cloneとかにするべきなのでしょうが、
回路図が本物かどうか確認がとれないので軽くお茶を濁してみました。
従ってこの記事を読まれる方も、これは本当のZD Cloneかどうかは怪しいと思って下さい。

そのBBSによるとZDはSon of Screamerに手を加えたものだということで、
SoS というのは大雑把にいうとTSから前後のバッファーを除いたものです。
回路図はThe Technology of the Tube Screamerの一番下のほうにあります。
去年作ったTSもどきもSoSを元にしたものです。


SoSからの変更点は

  1 MosFETクリッパー

    シリコン・ダイオードの代わりにMosFETをクリッパーにします。
    TSもどきの手書きの図と解説(怪しいかも)を見て下さい。
    これが本来のMosFETクリップらしいですが、このGeダイオードを
    図とは逆に極性をひっくり返すとMosFETのインターナル・ダイオード
    (body diode)をクリップさせることになります。ZDは回路図によると後者のようです。

    FETとGeダイオードの本当の型番がわからないので、とりあえずは2N7000と1N34に、
    片側はダイオードを2本にして非対称クリップにしておきました。


  2 Voiceコントロールの追加

    feedback loopからVrに繋がるrolloff point を決める4k7/0.047uFのネットワークの
    Cを0.1uFにして、4k7のRを1kから11kまでの可変にします。

    このRを小さくすると中高音寄りになりゲインも上がります。
    逆に大きくすると低音寄りというか、フラットな特性に近くなりゲインは下がります。

    上記の事はPlate to PlateのFAT SCREAMERを見ると参考になるでしょう。
    また、R/Cネットワークとrolloff pointの値の関係はAMZのこのページ
    実際に数値を入力するとわかりやすいと思います。 

  3 Toneコントロール

    TSではアクティブ・トーン・コントロールですが、これがパッシブのロー・パス・フィルター
    になっています。

    あとはコンデンサーの値などが違っています。



制作するに当たっては、ユニバーサル基板ではめんどくさくてどーしてもやる気が出ないので、
TMZさんが投稿してくれた図を元にPCBレイアウトに書き直し、
かつ、ゆったりと半田付ができるように基板のサイズを少し広げました。

ちなみにPOTは4個ともBカーブで良いと思います。本物は多分そうです。


さて、これは本当にZendriveなんでしょうか?
本物は去年売ってしまったので記憶している音との比較になるのですが、
これがまたかなり怪しいです。怪しいのが前提で読んで下さい。
 
全体的には大分本物に近いと思います。特にゲインを低めに設定したときに
シリコン・ダイオードのTS Cloneと比べてのクリアな感じの無さはソックリです。
ただ、オペ・アンプは1458ではない気がするのと、低音も若干少ない感じがします。
くどいようですが話半分に聞いて下さい。

Geダイオードやオペ・アンプ等を他ので色々試してみると良いかもしれませんが、
私は4558に替えただけでとりあえず良しとしました。

このmodded-SoSはZenndriveかどうかは別にしてもなかなか使い勝手の良い
TS系のOverdriveだと私個人は思います。 


最後に、この場を借りてTMZさん塵屋敷さんにお礼を申し上げます。
お二方のおかげで今回は事前に全くリサーチをすることなく楽に製作できました。
ありがとうございます。

                                2007/09/25 up               




オペアンプとダイオードを変更しました


最近(2010/7)「Robben Ford Trio NEW MORNING Revisited」というDVDを購入しました。
そのライブではダンブルではなくSuper ReverbとZendriveの組み合わせでやっているのですが、
いつものようなロベンの音が聞けます。

音色を決定づけるのはやはりプレイヤーによるところが殆どだと改めて実感しましたが、
それはそれとして、少しでも本物のZendriveに近づけるために
今更ながらオペアンプとダイオードを変更してみました。


FreeStompBoxesのZendriveスレッドの新しめの回路図によると、
いつの間にやらオペアンプはAD712,ダイオードはBAT41が3本で決まり!
みたいなことになっているようです。

ただ、公開されている樹脂を取り除いた写真では当初の推測どおり
片側が1N34/BAT41で、もう片側はBAT41が1本に見えるのでそれを採用します。
また、Gain Limiting抵抗が1kになってますがこれは10kだと思われます。
以前FreeStompBoxesにその部分の写真をアップした時は
カラーコードは茶、黒、橙に見えたのですが当時の写真が無くなってしまってます。


というわけでパーツを取り寄せ、基板からダイオードを外そうとしたところ、
なんとその部分の銅箔パターンが何故か剥がれちゃいました。
もう基板を作る気力がないので今回は「PAS」さんというところから
「DRIVING ZEST」の基板を取り寄せて作り直すことにしました。

ちなみにそのショップによると「DRIVING ZESTはZENDRIVEをベースにしています。」
と微妙にぼかしています。
実際に付属の回路図を見ると本物と言われているものとは何点か違いがあります。

まず入力のコンデンサーが本物は0.47uFですが0.047uFに、
それと、Gain Limitingの10kの抵抗が在りません。
( ZendriveのGainポットの2番と3番端子にまたがっているヤツ)
ただ、この抵抗はGainを0にしなければ無くても大丈夫でしょう。
あとは当然オペアンプとダイオードも違っています。


さて、取り寄せたAD712には写真のように切欠きがあります。
何枚か公開されているZendriveの内部写真や私自身が所有していた本物の
チップを見ると明らかに見た目が違います。
FreeStompBoxesでも一人しかこの事を指摘していないようですが
切欠きが無いAD712も存在してるんでしょうか。


ところで、FreeStompBoxesでは多分お馴染みのsoulsonic氏が
ZendriveのパクリであるJetter Gain Stage Redのスレで
色々なチップを聞き比べた結果、この回路ではTLC2262CPが
一番気に入ったという書き込みを見たので、早速取り寄せてAD712と聞き比べてみました。

私には微妙な違いにしか聞こえないんですが、TLC2262CPの方が「ブオー」って感じの
低音の出方で本物に近いような気がします。ただし、気のせいかもしれませんw

どちらにしても本物と並べて聞き比べないと自分には判断のしようがありませんが、
ここらで「modded Son of Screamer」という曖昧な記事タイトルから
ド厚かましくも「Zendrive Clone」に変えさせていただきましたww



比較のため、例によって音源をアップします。

最初に作ったままの4558と1N34/1N34+1N34




今回のTLC2262CPと1N34/BAT41+BAT41





どちらも同じソロを弾いています。
ギターはBLS-700にAmplitube Fender/Vibroverb
スピーカーはRed WireのMarshall 1960 G12T-75です。
ZD Cloneのツマミの位置とDAW上のAmplitube等の設定も同じです。





微妙な違いがこの音源で分かるでしょうか

                        
2010/7/31 追記




本物と比較してみました

本物に少しでも近づけるようにとダイオードとオペアンプを交換しましたが
いちばん手っ取り早いのは本物を入手することなので再度Zendriveを購入しました。

せっかくなのでCloneのオペアンプをいくつか代えて比べてみました。
試したのは4558、何故か日本ではデフォルト扱いになっている1458,
AD712TLC2262です。

1458と4558はどちらも明らかに違います。
ちょっと暗めといいましょうか、TONEを開けても同じような感じになりません。
AD712と2262はわりと似ています。
ただ、AD712は見た目が違うので除外して、
私個人としては手持ちのチップの中では
2262がいちばん似ていると勝手に結論付けました。

ただし、試したのがVOX AD30というデジタル・アンプとAmplitubeなので
リアルなアンプで音を出すとまた違うかもしれません。
また、もとからあまり耳が良くないのに加え、50才という年齢からくる
聴力の衰えによってまともに聞き分けができていない可能性が大です。
ですから、自分で言うのもナンですが上記の比較はかなり信憑性が低いです。



Zendrive 
(約3MBのwavファイル)



Clone/TLC2262CP




皆さんにはどう聞こえますか?


                         
2010/8/17 追記





              完結編

昨年基板を作り直したCloneだったのですが、
再度本物のZendriveを入手したためしばらく放置していました。

今年になってZendriveのチップをcloneに付けたり、
Zendriveに4558等数種類のチップを載せて比較していたのですが、
その際にやっちまいました。

ICソケットからZendriveのチップを外す時に引っかけてピンを1本折ってしまいました。
そこで、自分が行った間抜けな出来事を正直に書いて
チップだけを売ってもらえないかHermida AudioのAlfにメールしたところ、
タダで送ってくれるという返事をもらったのでホッとしました。

BANZAI Effectのクズ野郎とのあまりの違いに感動すら覚えますw

結局、忘れられていたのか2ケ月位でチップが到着しましたが、
送料までもAlfが負担してくれたので文句はありません。
で、3個送ってくれました。


ひとつはZendriveに、もうひとつはCloneに付けました。
この2台を並べて切り替えながら音を出してみましたが、
ほぼ違いはありません。
まあ、当然でしょうか。

チップの型番がわからず仕舞いなので情報としては全く役に立ちませんが、
自分の中では本物のチップが手に入ったので、
Clone探求の旅はこれにて完結です。

ちなみになんですが、
本物と並べて比べるとチップの音の違いはまあ判りますが、
そうでなければ私にはどれが本物か判りません。


例によって音を上げます。

バッカスBLS-700
アンシミュはScuffham AmpsS-Gear/The Duke clean CH
cabのIRはRedwireのMarkIIC_EV12Lです。

Robben (Mark) Ford / Live the Life I Love






                         
2011/6/15 加筆





                        






Zendrive Clone
( modded Son of Screamer )

オペアンプとダイオードを変更しました
2010/7/31 追記
本物と比較してみました
2010/8/17 追記
 完結編 
2011/6/15 追記

サンプル・サウンドはこちら